今回は、子どもが「学校に行きたくない」と言った時
親は「休んでいいよ」と言った後、何ができるか?何をすべきか?何はすべきでないか?
について、チャイルドカウンセラーがお伝えします。
まず、ゆっくり休もう
子どもは、今まで相当無理をしてきたのかもしれません。
「休ませて」と言ったり、体が言うことをきかなくなるまでにどれだけ我慢してきたのでしょう。
考えてみてください。
大人が仕事に行こうとしたら起きられない、玄関に座り込んでしまう、体が動かないという状態になったらどれほど重大なことか。それが、小さな子どもの体におきているのです。
子どもだって
「学校は行かなくてはならないところだ」
「学校に行かないとろくな大人になれない」
「お父さんやお母さんに心配かけてしまう」
と嫌というほど分かっているのです。
「今まで、我慢してきたんだね」
「気づかなくてごめんね」
と言って、休ませてあげましょう。
無理に理由を聞きださない
子どもが「学校に行きたくない」と言ったら、「どうして?何があったの?」と聞きたくなることでしょう。
でも、あまり話してくれなかったり、話してくれたことだけでは十分な理由に思えなかったりするかもしれません。
そういう時は、無理に聞き出そうとしないようにしましょう。
子ども自身、どうしてなのかはっきりわからないのかもしれません。
うちの子も、半年ほどたってから、「あのときね・・・」と話してくれました。
フリースクールの校長先生の話でも「ここなら話せる」という気持ちになった時、ぼそっと教えてくれる、ということを聞きました。
どうしても気になるなら、自分だけで学校を見学させてもらうこともできるかもしれません。
そうしたら、ワイワイガヤガヤしているクラスの声や、学校独特の決まりなど、子どもたちが苦しんでいる理由が分かってくるかもしれません。
私のお友達のお母さんは、給食を見学に行って「かわいそうで涙が出そうになった」と言っていました。
色々な選択肢を知ろう
私は自分が学校が嫌いだったので、子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、「じゃあ、一緒に楽しい学校を探しにいこう」と、すぐに舵を切ることができました。
「今の時代、学校じゃなくても学べる場所は色々あるはず!!」
と思い、探し始めたのですが、自分が思っていたような場所はなかなか見つかりませんでした。
うちの子は勉強が嫌いなのではなく、先生が厳しい人だったため、「怒られずに勉強ができるところ」を親子で探していたのですが、近くにそういう場所はなかったのです。
「家から一歩も出られなかった子が、ここに来れただけで花丸!!ゲームしても何してもいいよ」
という場所は私たちが探していた場所とは違うように感じました。
それで、他県のきのくに子どもの村学園に見学に行ったり、コクレオの森や大日向小学校を作った人の本を読んだりしました。(おかげで高速の運転も慣れました)
そのうちに、「子どものうちは遊ぶことが学びなんだ」「学校でするような学習をしなくちゃと思っていたけれど、そんなのは自分をしっかり確立できていればいつでも取り戻せる」という風に考えも変わっていきました。
実際、あるお話では、「小学校6年間の勉強は、6年生になって本人がその気になれば2か月で取り戻せる」ということでした。
そして、いろんなフリースクールや居場所の主催者さんとお会いしたりそこに通っている子たちと出会うことで、私の中の「当たり前」が崩れて行って、「こっちの世界の方がおもしろそう」と思うようになりました。
家族の理解を得る
私はすぐに学校から逃げる選択を取りたかったのですが、実際には夫が理解してくれなくて、半年ほど一日2時間仕事の前に付き添い登校してクラスの後ろで本を読んでいました。そのうち夫もYouTubeなどで学校に行かない選択肢について知るようになり、「今はそういう道もある」と思うようになってくれましたが、そこに至るまでには何度も話し合い、バトルもありました。
お友達の中には、義両親と同居していたりして「学校に行かなくて大丈夫なの?」「最初は無理にでも連れて行かなきゃ」という時代錯誤の言葉に苦しんでいる人もいました。
家族の理解を得るには時間がかかると思いますが、自分が同じ悩みを持つ人たちと関わり、適度に息抜きしながら乗り切りましょう。
同じ悩みを持つ人とつながろう
地域に不登校の親の会というものがないか調べてみましょう。
子ども食堂や、土日に開催しているプレーパークでもいいかもしれません。子どものことを考えている人たちが主催しているので、いろんな情報を持っていることがあります。
私が行った隣町の子ども食堂では、学校との話し合いに付き添ってくれる活動をしている人もいて、とても心強いと思いました。
親の会にも合う、合わないがあります。
私の地域の親の会に行ったときは「どうしたら子供を学校にもどせるか」ばかり話されていたので、わたしの考えとは合わないなと思いました。
他の地域に行ったり、フリースクールを見学にいったりして気の合う仲間を探してみましょう。
親が人生を楽しんでいる姿を見せよう
私は子どもが生まれた時、どういう子になってほしいか考えました。
そして「人生をどんな時も楽しめる子」になってほしいと思いました。
そのためには親が人生を楽しんでいなくちゃと思い、子どもが小さいうちに起業しました。
私自身は親が敷いたレールの上をつつかれながら歩いているような人生で、いつ死んでもいいと思って生きてきました。
学校でもいい子ちゃんで、先生のお気に入り、常に班長や学級委員でクラスをまとめないといけないという息苦しい生活でした。
子どもにはそんな思いはさせたくないと子供が産まれてから心理学やモンテッソーリの本を読み漁り、最近はチャイルドカウンセラーの資格を取得しました。
また、得意のハンドメイドで生計を立てています。
子どもにも、時間はかかってもいいから好きなことで生きて行ってほしいと思っているし、そのためには私が人生を楽しんでいる背中を見せなければと思っています。
家でできる仕事を探してみよう
子どもが不登校になると困るのは、自分の仕事のことかもしれません。
低学年だと一人で留守番できないかもしれないし、大きくなっても「いつ自分の命を絶ってしまうか」という心配で買い物もいけないという声も聴きます。
今はインターネットの社会です。
私はハンドメイド作品を世界中のお客さんに向けて販売しています。
Instagramやブログで稼いでいる人もたくさんいます。
中には怪しいものもありますが、Instagramやブログ、ハンドメイドで家にいながら仕事ができるというのは嘘ではありません。
私も詐欺みたいなのにひっかかったり、自分にはあわない手法で挫折してしまったものもありました。
でも、失敗もしたからこそ、自分の子どもにもアドバイスしてあげられると思うし、挑戦し続けたからこそ、会社に雇われるだけが仕事じゃないって教えてあげられます。
時間がある今、家でできる仕事を探してみましょう。
子どもと関わるときに気を付けること
「あとちょっとだけ、やってみよう」といわないこと
大人がやってしまいがちなのが、「今日は校門にタッチするだけ」「今日は保健室で午前中までいく」と子どもと約束したのに、「よく校門までこれたね。靴箱まで行ってみようよ」とか、「午前中がんばれたね。給食も食べていかない?」と「もう少し」と背中を押してしまうことです。
そうするとせっかく今日は「成功体験」で終われたはずなのに、「失敗体験」になってしまいます。「失敗体験」が毎日積み重なると、子どもはどれだけやっても認められないという感情になって努力することをあきらめてしまったり、大人は信頼できないと思うようになります。
子どもと約束したことは守り、自分で決めた目標を達成できたら、思いっきりほめてあげましょう。
復学や進路は子どもに任せる
親としては、できるだけ早く周りの子のように学校に行ってほしいと思うことでしょう。
しかし、焦ってもよいことは何もありません。学校へ行けるようになったと思ってもまた行けなくなるを繰り返し、何度も「失敗体験」を味わわせることになりかねません。そうすると荒れたり、自死を考えるようになる可能性もあります。子供にそこまでして学校に行かせたいのか、自分はなぜ子供に学校に行ってほしいのかをよく考えてみましょう。
不登校には三つのステップがあります。
1・思いっきり休む
2・やりたいこと好きなことを見つけ、生きる喜びを見つける
3・将来やりたいことのために学びたいと思うようになる
子どもは傷ついています。本来守られるはずの場所で大変な目に遭ってきたのです。
「もう大丈夫だよ」と安心させてゆっくり休みましょう。
そのうち、休むことに飽きた子供は何かを始めます。ゲームかもしれません。
ゲームでも大丈夫です。最近のゲームはコミュニケーションを取ったり構造物を作ったりできます。
一日ゲームばかりでは心配だけれど、親が色々な体験を準備することができないという場合にはフリースクールを考えていきましょう。フリースクールでは友達とコミュニケーションを取る、電車に乗れるようになる、工作をするといったような体験ができるように考えられています。少々荒れていたり言葉が出なかったりしても、「私も最初はそうだったよ。ここは大丈夫だよ」と同じ経験をした子たちが迎え入れてくれます。
好きなことを見つけた子供、生きる喜びを取り戻した子どもは将来やりたいことについて考え始めます。
自分から「勉強しようかな」「制服が可愛い高校に行きたいから中学校に行こうかな」という日がくることでしょう。
ユーチューバーのゆたぼんさんのことが話題になりましたが、まだまだ中学校の内申点がないと公立の高校は難しいかもしれません。でも、つまり公立の高校は未だに「そういう考え方」なのですから、入れたとしても問題が待っていることでしょう。それよりも理解の進んだ通信制の高校などに進んで、大学、専門学校を目指した方がいいのかもしれません。
学校との関係
こちらが、「学校にはもう期待しない、フェードアウトしたい」と思っていても、学校から色々声がかかる場合があります。
うちも、「週に一回は顔を見せてください」とか「来年度はどうするか夫婦で来てください」など、言われます。
善意で言ってくれていると分かっていても、考え方が違う人たちと毎週会ったり話すのはしんどいですよね。
本当に「他のオルタナティブスクールに行くのでほっといてください」と気持ちが固まっているなら、はっきり伝えればいいと思います。
私は「全く連絡がないのは寂しいような気もするし、毎週電話が来るのはしんどい時もあるし、先生に申し訳ない気持ちもある」と自分の考えが分からない時がありました。
うちは教頭先生が話せる方だったので、不登校の漫画二冊(学校に行かない君が教えてくれたこと)(学校に行きたくない君へ)をお貸しして、「学校ではできているように見えても、無理をしてて家では荒れてしまうこと」や、「親のしんどさ」を分かってもらうようにしました。
逆に学校に行けるようになってほしいと思っている場合には、「こうしてくれたらうちの子は楽になります」「ここが苦しいみたいです」ということを伝え、どこまで配慮してもらえるか聞いてみましょう。
うちも色々話してみましたが、「ここは幼稚園ではないので」「他の保護者さんはそう思ってみえないので」という感じで話にならなかったので学校には期待しないことにしました。
でも進級して担任の先生が新しく優しそうな先生になったので、いろんな人がいるということを知ってもらうためにもまた話してみようと思っています。
スクールカウンセラーを使う
現在、公立の小中学校にはスクールカウンセラーの在籍が義務付けられています。
しかし、形だけのことも多く、私の町では5つある小中学校をスクールカウンセラーが回るので、月に一度、半日しかいらっしゃいません。
平日の半日の中でひと月前から予約を取らないといけないので、仕事をしていたら難しいでしょう。また、問題を抱えた子供がカウンセラーと接点を持ったり相談したりは不可能に近いでしょう。
カウンセラーにもいろんな方がいて、「学校に戻る」ように助言してくる方もおられるようですが、私の面談したカウンセラーさんは、そんなことはありませんでした。
私が最初に「今の学校が根本的に昔と変わっていなくてがっかりした。こんな学校に通わせたいんじゃない」という話をしたからかもしれないですが、世界の素晴らしい教育のことで盛り上がり、楽しい話し合いをしました。
しかし、いくらいい学校やフリースクールを知っていても、名前を出して教えることはできないのだそうです。なので、近隣のいい学校やフリースクールのことは自分で調べるしかありませんでした。
それでも、教育関係の方の中に話が分かる方がいることは心が軽くなりました。
また、子どもの気持ちが分からなくて困っていらっしゃるような場合にはカウンセリングが助けになるかもしれません。
自分の世界が広がり、夢が見つかるかも
子どもが学校に行かない選択をしたことで、わたしの世界は広がりました。
色々な考え方や世界の学校、オルタナティブスクールを知ったし、苦しんでいる子がたくさんいることも肌で感じました。
そして、普通とは違うけど楽しい選択をしている人がたくさんいることも知りました。
学校を子どもたちにとって居心地いい場所にしたいと思っている先生方も少数ながらいて、水面下で集まって取り組みを交流しあっていることも知りました。
そして私にも新たな夢ができました。
不登校になってから行くフリースクールじゃなくて、
最初から公立にいくか、こちらに行くか選べる楽しい学校を創りたい。
自分のペースで勉強して、遊びもめいいっぱいする。
学びが遊び。遊びが学び。
そんな学校を創ることです。
そこで私はカウンセラーとして、それから自分の特技を仕事としていくためのアドバイザーになれたらと思っています。
それもこれも、うちの子が私のところに生まれてきてくれて、学校に行かないという選択をしてくれたこそ生まれた夢です。
人生に無駄なことは何もないのだと、教えてくれたのです。
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